- 地獄
- じごく【地獄】〔梵 naraka 奈落; niraya〕(1)悪業をした者が死後苦報をうけると信じられている世界。(2)〔仏〕 六道の最下位。 閻魔(エンマ)が主宰し, 死者の生前の罪を審判して, それに応じた責め苦を与える。 八熱地獄・八寒地獄など一三六種の地獄がある。 奈落。⇔ 極楽(3)キリスト教で, 神と神の言葉を拒む者が落とされる最も恐るべき運命または世界。⇔ 天国(4)非常に苦しく, つらいこと。
「通勤~」「~坂」
(5)火山や温泉地で, 常に噴煙や熱湯の噴き出している所。「~谷」
(6)劇場の舞台の床下。 奈落。(7)売春婦。 私娼(シシヨウ)。「中洲でかつた~ではねえかしらん/黄表紙・艶気樺焼」
~極楽(ゴクラク)はこの世にあり善悪の行為の応報は, あの世を待つまでもなくこの世でおのずから現れる。~で仏に会ったよう苦境に立ったとき思わぬ助けにあったうれしさのたとえ。 地獄に仏。 地獄で仏。~にも知る人地獄のような所にも知人はできる。 どんな見知らぬ土地でも知己はできるものだ。 地獄に近づき。~の一丁目(イツチヨウメ)きわめて恐ろしい所のたとえ。 また, 破滅に至る第一歩。~の上の一足(イツソク)飛び非常に危険な行為のたとえ。「~, 玉なる汗をかきて木戸口にかけ出/浮世草子・五人女 3」
~の釜(カマ)地獄で罪人を煮るという釜。~の釜(カマ)の蓋(フタ)もあく盆と正月の一六日は地獄の鬼でさえも罪人を責めるのをやめて休息するそうだから, この世でも仕事をやめて休むのが当然であるの意。→ 賽日→ 藪入り~の沙汰(サタ)も金次第(カネシダイ)閻魔(エンマ)の裁きも金の力で自由になるというほどだから, 金さえあればこの世では何でもできる意。~は壁一重(カベヒトエ)〔壁一つ隔てた隣は地獄である意〕人間, 一歩踏み誤ればたちまち悪の道へ陥る。~も住み家「住(ス)めば都(ミヤコ)」に同じ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.